現代医学では、腰が痛ければ腰の治療、肩が痛ければ肩の治療というように、局所重視の治療が行われています。
徒手療法家といわれる、手によって治療を行う人たちも局所治療がスタンダードです。
しかし、局所を治療しても治らない患者さんが山ほどいます。
そういう患者さんはどこに行っても症状が改善されず、いろいろなクリニックや整体院、整骨院を渡り歩くことになります。
ではどこに行けば、どこに行っても治らない症状を改善させることができるのかといえば、
局所重視の治療ではなく、患者さんの体全体をしっかりと診ることです。
患者さんの体全体の状況を把握し、一番悪い部分を施術することで、どこに行っても改善しない症状を改善することができます。
1番手軽にできる結果を出せる治療
簡単に結果を出すためには、
- 関節の遊びを治療する
- 背骨を真っ直ぐにする
- 治療箇所のイメージする
- シンプルに考える
が重要です。
関節の遊び(joint play)を治療する
正常な関節には「関節の遊び(joint play)」と呼ばれる関節の動きがあります。
関節の遊びはすべての関節に存在し、
これが正常であることで、関節も筋肉も自由に動かすことができるのです。
多くの徒手療法では、関節の遊びは関節のみに存在するかのように書かれていますが、
関節のことだけではなく、筋肉や内臓などにも“遊び”があります。
この”遊び”の動きを感じ取り、正常な動きにすることで、その場で症状を取ることが可能になります。
背骨をまっすぐにする
背骨からは各筋肉や内臓、感覚に関係する神経が出ています。
そのため、腰の痛みと関係のある背骨がずれると、腰に痛みが生じます。
これは、骨がずれることにより神経を圧迫し、
圧迫された神経に関係する部分に機能障害が起こり、痛みなどの症状が生じるためです。
ということは、骨がずれて症状が出ている場合、骨のズレを正せば症状が改善します。
カイロプラクティックというアメリカ発祥の医学は、まさにこの考え方によって治療されています。
背骨は全身を映し出す鏡です。
背骨を診れば悪いところがわかりますし、症状を聞けば背骨のずれている部分がわかってしまいます。
しかし、ただ単に背骨のズレをを整えればいいかと言うと、そういうことではありません。
しっかりと検査を行い、正すべき骨のズレを見つけ出さないと症状が改善しないどころか、さらに悪化してしまうこともあります。
それを避けるために、モーションパルペーションによる鑑別、診断が重要です。
治療箇所を鮮明にイメージをする
治療中、自分が触っている部分を鮮明にイメージできると、治療の効果は格段に上がります。
「今触っているのは、筋肉なのか筋膜なのか靱帯なのか骨なのか。」
「どっちの方向に骨がずれていて、どの方向に治療が必要か?」
「治療の圧はどれくらいか、方向はどちら向きがいいのか。」
そこまで考えられるようになると、かなり治療で結果を出すことができます。
また、解剖学を立体的に勉強し、組織をスケルトンでイメージすることができればさらに良きです。
シンプルに考える
いろいろな勉強していくと、治療の考えかたが複雑になっていき、何をやってもあまり効果が出せなくなるという時期が訪れます。
本来は筋骨格系の治療で治るべき簡単な症状なのに、難しく考えてしまって改善しないということがあるはずです。
知識だけが増えて頭でっかちになるとそういうことが起こりやすくなります。
その状況を抜け出すために一番大事なことは、治療をシンプルに考えることです。
シンプルに考えるとは?
難しい勉強をしすぎた人の多くは、簡単なことでも難しく考えるようになります。
例えば、ただの捻挫が痛みの原因なのに、
「この筋肉が硬くなるのは、脳の○○が関係していて~」とか偉そうに言い出します。
挙げ句の果てに、なんでも脳に関連づけて「脳さえ治せばなんでも治る」と言い出すわけです。
本当に脳が問題で症状が出ているなら脳を治療すればいいですが、
「脳を治療する前にもっといろいろあるでしょ。」と思いますが、本人は気付くわけはありません。それが正解だと信じているから。
だから誰が何を言っても治療方針を変えません。だから治療もうまくいきません。
当たり前のことです。
難しい勉強をしすぎて結果を出せなくなっている施術家の人がいるとすれば、
1度積み上げたくそ難しい知識を横に置いて、物事をシンプルに考えてみましょう。
例えば、
「背骨が右に曲がっているからまっすぐになるように治療する。」
「首を右に倒したときに痛い場合は、右に側屈できない頸椎を探してみる。」
「体を前に倒したときに腰が痛いのであれば、体を前に倒せるように治療してみる。」
などとてもシンプルに考えてみましょう。
皆さんが思っているよりもシンプルな治療で人は治ります。
シンプルな治療で治るのにわざわざ難しい考えをして治療する必要ってあるのでしょうか?
シンプルに考える上で大事なこと
シンプルに考えると言っても結果を出せなかったらなんの意味もありません。
だから、シンプルな治療で結果を出すために大事なことは、
患者さんが訴える症状をしっかり聞くということです。
症状の詳細を聞かずに治療がうまい先生はほぼいません。
腰が痛いという患者に、どの動作で痛みが再現されるのか、受傷理由、昔同じような痛みはあったのかなど、
症状に関係することを聞き出すことができれば、自ずと治療法がわかります。
治療がうまい先生は、意外なほど治療の考え方がシンプルです。
治療がうまくなりたいのなら、シンプルに考える訓練をしましょう♪
まとめ
私の施術では、基本的に脊柱のゆがみ、局所の歪みを診た上で、その人の体に合った最善の場所に治療を行います。
治療で結果が出ないのは、治療のポイントが間違っているからです。
局所治療でも背骨の治療でも、
本来触るべきでないところを触ってしまったり、全く逆の方向に動かしてしまうと症状が全く取れません。
それどころか、悪化させてしまいかねません。
ほんの小さな違いで、結果を出せる治療か、出せない治療が決まってしまいます。
それを防ぐためにも、背骨のどこをどの方向に動かせばよいのか、
局所のどこの骨を治療したらよいのかをしっかりと検査鑑別診断を行い、体の状態、患部の状態をイメージした上で治療する必要があります。
それに気をつけて治療を行うと、その場で症状を改善させることができる治療を行うことができます。