腰痛、肩痛、膝痛もその場で痛みがとれるたった1つの方法
ピンポイントで“正確な治療”をする上で欠かせないのが“触診”です。
どんな治療でも“触診”は必須のスキル。絶対に使います。
触診には、
静的な触診であるスタティックパルペーションと
動的な触診のモーションパルペーションがあります。
スタティックパルペーションとモーションパルペーションの違い
スタティックパルペーション
スタティックパルペーションは、主に脊柱のゆがみや肩の高さ、各関節の位置関係などを確かめる上で必須の触診です。
多くの治療家はスタティックパルペーションにより骨盤のアライメントや、背骨のズレだけを見つけてそれを治療します。
しかし、このスタティックパルぺーションだけでは位置的な異常しか検出できません。
ですので、スタティックパルペーションのみによって見つけ出されたズレは、本来治療するべきではないズレを含んでいる場合があります。
治療するべきではないズレを治療してしまうと、治療がうまくいかないばかりか、症状を悪化させてしまう危険を伴います。
モーションパルペーション
スタティックパルペーションの欠点を補い、より正確に関節の機能的な異常を診断する方法がモーションパルぺーションです。
モーションパルペーションにより、本来治療すべきではないズレを除外して、治療を行うべきズレのみを発見することができます。
モーションパルペーションは直訳すると、“動きの触診”です。
モーションパルペーションでは“関節の遊び”を検査に用います。
”関節の遊び”とはなじみのない言葉かもしれません。
人間の手の指の関節は、曲げたり伸ばしたり2つの方向の動きしか出来ません。
しかし、指先を片方の手で持ちやさしく左右にまわしてみると、わずかに指先の関節が回わるのがお判りいただけると思います。
これを「関節の遊び(joint play)」と呼び、全ての関節に存在します。
この関節の遊びが正常であることで、筋肉は自由に動くことが出来るのです。
痛みが出ている関節では、この“関節の遊び”が減少している状態であることが多く、関節の遊びを正常に戻すと痛みがなくなり支障なく関節を動かせるようになります。
スタティックパルペーションもモーションパルペーションも両方とも関節のズレをみているのですが、
スタティックパルペーションの場合は、ただのズレ、カイロプラクティックで言うところのサブラクセーションをみています。
それに対して、モーションパルペーションでは主に、ズレと硬さをみています。カイロプラクティックで言うところのフィクセーションをみつけています。
モーションパルペーションはそんなに優れているのか??
例えば、右膝関節前面に痛みがあり、スタティックパルペーションを行うと、脛骨が大腿骨よりも前にある感じがするとします。
このとき右の脛骨が前にあるから右の脛骨の前方変位と思って治療したとすると、治療が成功する確率は100%ではありません。
それはなぜかというと、脛骨が大腿骨よりも前にあるという情報をスタティックパルペーションから得たとしても、
脛骨が大腿骨よりも前にある場合、
脛骨が前に変位している場合と、
大腿骨が後方に変位している場合が考えられます。
脛骨が前方に変位している場合は、脛骨を後方にする治療を行えば症状が改善しますが、
大腿骨が後方に変位している場合には脛骨をいくら前から後ろに押しても症状は改善しません。
症状を改善させるためには、大腿骨を前方に戻す治療が絶対的に必要です。
そうでなければいつまでたっても症状は改善しません。
だからスタティックパルペーションのみの情報を頼りに治療を行うのは危険です。
スタティックパルペーションを行った上で、モーションパルペーションを行い、脛骨と大腿骨のどちらの骨をどの方向に治療しなければいけないのか。ということを瞬時に判断する必要があります。
そうすることで検査と治療の時間を短縮できる上に、治療の失敗も無くなるはずです。
モーションパルペーションの応用
モーションパルペーションというと“関節にするもの”
と思いがちですが、本来は体の全ての組織に応用できます。
骨を動かしたときの動きを感じるのももちろん、
筋肉の動き、
筋膜の動き、
皮膚の動き、
内臓の動き、
頭蓋の動き
もモーションパルペーション可能です。
内臓や頭蓋のモーションパルペーションができるようになると、
内臓や頭蓋のテクニックをただ使っているだけの人より数倍以上の効果を出せるようになります。
モーションパルペーションの欠点
そんなに治療がうまくいくならモーションパルペーション最強じゃないか!と思ったかもしれません。
しかし、そんなモーションパルペーションにも残念ながら欠点があります。
それは、習得するのが難しいと言うことです。
モーションパルペーションは非常に小さな動きを感じ取らないといけません。
多くの方がこの小さな動きを感じ取れないため、挫折します。
しかし、モーションパルペーションを身につけることができれば、どこに行っても治らないような患者さんでも普通に治すことができるようになります。
多くの人ができないものにこそチャンスはあるのではないでしょうか。