そもそも不眠症とはどういう状況をいうのか??
毎晩ぐっすり眠れることが当たり前。
そう思っている人がほとんどだと思います。
しかし、快眠を十分に得られず苦しんでいる人たちがいます。
このページをご覧のあなたは、睡眠に不満をお持ちかもしれません。
もしかすると、すでに睡眠関係の書籍を何冊も購読し、ネットで調べ上げ
様々な快眠方法を試されてきたのではないでしょうか。
その方法で、あなたが満足する効果を得ることができましたか?
「満足できなかった」方もいらっしゃるると思います。
この記事を読み終わる頃に、あなたの睡眠の不満を解消するきっかけになれば幸いです。
不眠症とは
睡眠障害の1つに不眠症があります。
・寝つきが悪い
・夜中に何度も目が覚めてしまう
・朝早く目が覚める
・眠りが浅く十分眠った感じがしない
などの睡眠に関する主な症状とともに、
日中の眠気、注意力の散漫など体調不良が起こる状態が不眠症です。
日本において約5人に1人が、不眠の症状で悩んでいるとされ、
男性よりも女性に多いといわれています。
人口の2割以上の人が不眠で悩んでいると言われていますが、
不眠のつらい症状を理解してくれる人が少なく、周りの人達に怠け者と思われてしまうのが現状です。
不眠症の症状4つのタイプ
不眠症の症状は人によってさまざまですが、大きく4つに分類することができます。
- 入眠障害(寝付きが悪い)
- 中途覚醒(夜中に何度も目が覚める)
- 早朝覚醒(アラームよりもかなり早く目が覚める)
- 熟眠障害(眠りが浅く寝た気がしない)
入眠障害
布団に入ってから眠りにつくまでの時間が1時間以上かかる状態です。
30分以上や2時間以上と書かれている本やサイトもあり、寝付くまでの時間に幅がありますが、
寝ようとしても眠れず不快を感じれば立派な入眠障害です。
中途覚醒
夜中に何度も目が覚め、その後眠れなくなる状態です。
一般的には入眠障害が不眠の症状で一番多いと思われがちですが、
中途覚醒が一番多く、治りにくい症状です。
早朝覚醒
朝、アラームよりもかなり早く目が覚め、そのまま眠れない状態です。
うつ病の特徴的な症状でもあるとも言われていますが、高齢者に多く見られ、
睡眠パターンの変化によるものとも言われています。
熟眠障害
しっかり眠ったという満足感がなく、目覚めた時に睡眠不足を感じる状態です。
睡眠が浅く、常に意識のあるような状態で眠っていたり、睡眠が何度も中断されている場合に起こりやすくなります。
不眠症の原因
「眠れない」ことにはさまざまな原因があります。
不眠につながる代表的な原因は、以下の通りです。
生活リズムの乱れ
人間の睡眠のリズムは、自律神経の切り替えによって調整されています。
そのため、夜勤や昼夜交代の不規則なシフトワークや、海外旅行など時差によって体内時計のリズムが乱れると、
睡眠や覚醒に関わる自律神経やホルモンのバランスが崩れ、不眠症の原因となることがあります。
特に現代社会では、スマホやパソコンなどの光や音の刺激により脳が興奮し、眠りを妨げる原因になります。
また加齢によっても不眠症の原因の一つです。
規則正しい生活を取り戻すことで改善されることが多いですが、生活環境や労働環境もありますので、
急に変えることは難しいと思います。
精神疾患
精神疾患には、症状として不眠を伴うものがあります。眠れないと思っていたら実はうつ病だったと言うことはそんなに珍しいこともありません。不眠によって精神疾患を併発することもあります。
うつ病の不眠では、早朝に目が覚め、朝方は無気力で夕方にかけて少し元気が出てくることがあります。このような症状がある方は早めに精神科・心療内科などで診断を受けましょう。
身体疾患
高血圧や心臓病をはじめ、呼吸器疾患、消化器疾患、前立腺肥大、糖尿病、関節リウマチ、アレルギー性疾患、、脳出血脳梗塞など、さまざまな体の病気によって眠れなくなることがあります。病気による自律神経への影響や症状による不快感(息苦しさ、痛み、かゆみ、咳など)が眠りを妨げる場合があります。
睡眠時無呼吸症候群や、レストレッグス症候群(むずむず脚症候群)などが睡眠を妨げることも珍しくありません。
この場合は、不眠症を治療する前に、体の病気の治療をすることで、不眠が改善されることが多いです。
※レストレッグス症候群による不眠の場合、SSRIといわれる抗うつ薬を飲むと不眠が悪化する場合があります。
薬の副作用
様々な病気の治療薬が不眠の原因になることがあります。
不眠を起こしやすい薬は、降圧薬、甲状腺ホルモン製剤、抗がん剤などがあります。
薬の使用によって不眠が悪化した場合は、医師に相談しましょう。
また、コーヒーなどに含まれるカフェインとたばこに含まれるニコチンには覚醒作用があります。それにより熟睡を妨げられてしまう場合があります。
ストレス
眠りとの関わりが深いのがストレスと緊張です。
大きな悩みごとやイライラ、精神的なショックがあると眠れなくなってしまいます。
一般的には神経質で生真面目な正確な方は、ストレスをより強く感じ、不眠症になりやすい傾向にあります。
また、自分で自覚できているストレスや緊張ではなく、
無意識にかかっている精神的、肉体的な負担が不眠の原因になっていることもあります。
環境
室内外の音や光が気になって眠れないことも見受けられます。
暑い寒い、寝具の具合などでも良い睡眠を妨げてしまいます。
不眠症の治療方針
不眠症の治療には、薬を使用する薬物療法と、薬を使わない非薬物療法があります。
しかし、一番重要なことは、不眠症になった原因を取り除くことです。
不眠症は様々な要因が重なり発症していることが多く、なかなか簡単には改善できません。
そのため、不眠を引き起こした根本的な要因を見つけ出すことが、不眠症治療の第一歩です。
薬物療法
現在日本で不眠症の治療には多くの睡眠薬が使われています。
睡眠薬の作用のメカニズムによる分類
睡眠薬の作用のメカニズムより2つに分類することができます。
自然な眠気を促す睡眠薬:メラトニン受容体作動薬・オレキシン受容体拮抗薬
脳に働く睡眠薬:ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系・バルビツール酸系
この中で、バルビツール酸系の睡眠薬は、依存性や副作用が大きいので、現在は不眠症の治療に使うことはほとんどありません。
メラトニン受容体作動薬・オレキシン受容体拮抗薬は比較的新しい薬で、ホルモンの受容体に作用して、脳を眠りの状態に誘導する睡眠薬です。
ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、GABA−A受容体に作用して、不安や緊張をやわらげ、筋肉の緊張を取り眠りやすい体内環境にする効果があります。
効き目が続く時間による違い
超短期時間作用型(消失半減期:2〜5時間)マイスリー・ハルシオン・ルネスタ・アモバン
短時間作用型(消失半減期:6〜10時間)デパス・レンドルミン・リスミー・ロラット・エバミール
中間作用型(消失半減期:20〜30時間)エリミン・サイレース・ユーロジン・ベンザリン
長時間作用時間(消失半減期:50〜100時間)
睡眠薬を飲むと、1時間ほどで血液中の濃度が最も高くなったあと、肝臓などで分解されて、濃度が少しずつ下がっていきます。血液中の睡眠薬の濃度が最も高い状態から半分に減るまでにかかる時間のことを消失半減時間といいます。
副作用
薬としての安全性はかなり高まってきますが、副作用が全くないわけではありません。
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬には、眠気を促させる働きに加えて、筋肉を緩ませたり、不安を抑えたりする働きがあるため、日中にふらついて転んだりするリスクがあります。
依存も、メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬に比べて依存ができやすいと言われています。
非薬物療法
認知行動療法
物事の考えかたや受け取り方に働きかけて気持ちを楽にする精神療法の一つです。
不眠症の認知行動療法は、ゆがんだ認知の修正他、誤った睡眠スケジュールの修正、筋弛緩法などがあります。
整体療法
一般的に、不眠症の治療は薬や心理療法のイメージが強いかもしれませんが、睡眠薬が効かず苦しんでいる方がたくさんいます。睡眠薬の効き目は60%ほどと言われており、すべての方に効果があるわけではありません。
世間で言われている方法で不眠が改善しないのは、他に原因があるからです。
患者さん本人も気付いていない原因が体にあることがとても多いです。
それを見つけ出し、治療することが不眠症を改善するための近道です。
まとめ
ここ最近たくさんの睡眠に関係する本が出ていますが、不眠に悩む人の気持ち、状況などを無視して、こうすれば眠れるという情報だけをつめこんだ、とても表面的で内容のないものが多い気がします。
医学的根拠があるからその方法で眠れるようになるのでしょうか??
偉い先生が言うから効果があるのでしょうか?
同じ人間は一人もいません。患者さん一人一人同じことをしても効果がある人と効果が無い人がいるのは当然です。一人一人の体の状態、不眠の原因を無視して、一般的な方法を試しても根本的な問題解決にはならず、かえって眠れなくなる可能性があります。
不眠症でお困りの方は、睡眠薬や書籍に書いてあることを信じるだけでなく、いろいろな方法を試してみることも大切だと思います。
一般的に、3ヶ月以上の不眠症は慢性となり治りにくくなると言われています。
慢性の不眠症になる前に、一度他の方法をお試しください。
あなたの不眠症が改善することを祈っております。
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